私はサラリーマン時代、経営者や管理部門責任者として、そして今は社会保険労務士として、ハラスメントに関する相談を受けることがあります。
そのたびに思い出すのが、25年以上前に私自身が経験したパワーハラスメントです。
1999年のことです。
当時30代後半だった私は、とある大型プロジェクトに取り組む横断型組織のメンバーにアサインされました。リーダーは剛腕で知られた人物でしたが、私の専門領域への理解は浅く、なかなかコミュニケーションを取りづらい状況でした。
20名弱のメンバーによる定例会議で、私が担当業務の進捗を説明していると、突然リーダーが怒鳴り始め、一方的に罵倒されました。その後も私への攻撃は続き、その人とのコミュニケーションはますます難しくなりました。次第に仕事への集中力を欠き、出社することも辛くなっていきました。
今のように「パワーハラスメント」という概念はまだ一般的ではなく、私が勤めていた会社では、相手をねじ伏せるようなマネジメントが評価される風潮さえありました。
どうしてよいかわからず直属の上司に相談しましたが、その上司もリーダーに迎合する立場でした。さらにリーダーの周囲には複数の管理職がいて、むしろ私に非があるかのような発言もありました。私の話に耳を傾けてくれたのは同じ部署の後輩一人だけでした。
その後、体調は徐々に悪化し、夜眠れない日が続きました。酒量も増えていきました。しかし当時の私は、自分が「メンタル不調に陥っている」ことすら理解していなかったのです。
今振り返ると、これは典型的なパワーハラスメントでしたが、当時の私は、それを「ハラスメント」だと認識することもできませんでした。そんな言葉を聞いたこともなかったのです。
次回は、なぜ誰も止めようとしなかったのか。そして私はその状況にどう対処しようとしたのかを振り返ってみたいと思います。