連載の第1回はこちらからどうぞ。
第1回へ
先輩に話を聞いてもらえたこと以外に、もう一つ、大きな転機がありました。
社内の掲示板で、医務室の「精神科医・臨床心理士によるカウンセリング」が受けられることを知ったのです。まだ始まったばかりの制度でしたし、臨床心理士という職業も、私はその時初めて知りました。精神科医に相談することには心理的なハードルもありましたが、このままでは自分が壊れてしまうのではないかと感じ、意を決して相談の予約を入れました。
その先生も、実に穏やかに私の話を聞いてくれました。そして、気持ちの切り替え方について助言をいただき、必要な薬も処方してもらいました。その後、隔週で相談に行くようになり、私の気持ちを理解してくれる人が増えたことで、少しずつ心が晴れるように感じました。
人に話すことで、心が少し軽くなることを知り、苦しい胸の内を、妻や社外の親友にも少しずつ話せるようになりました。その後もリーダーによるパワハラが収まったわけではありませんでしたし、薬の服用も続きました。それでも、少なくとも精神的には少しずつ安定していきました。
そんな中、私の環境に転機が訪れます。そのリーダーに、突然プロジェクト関連組織への出向人事が発令され、私の上司ではなくなったのです。完全に元通りになったわけではありませんが、明らかに私の症状は軽くなりました。
後にハラスメントについて学ぶ中で、ストレスの原因となるものを「ストレッサー」と呼ぶことを知りました。ストレッサーが取り除かれると、ストレスは軽くなる。ハラスメントへの対応では、行為をやめさせることに加え、相手からの「謝罪」や、配置転換などによる「切り離し」も有効だとされています。私自身は、リーダーの出向という形で「切り離し」を経験し、その効果を身をもって知ったのです。
先日、偶然NHKにその先生が出演されているのを観て、思わず涙がこぼれそうになりました。あの時、私の話を静かに聞いてくれた人がいたことを、私は今でも忘れていません。
次回は、今の職場のハラスメント事情と、会社に求められていることについて考えてみます。
次の回へ山田徹社労士事務所は、人事専任者のいない中小企業やスタートアップのための「人事労務相談顧問」です。
詳しくはサービス・料金ページをご覧ください。
サービス・料金ページへ
初回無料相談(60分)はこちらからどうぞ。
お問合せフォームへ